先日、小説を買い足しに行こうと立ち寄ったブックオフで、タイトルだけ見て即購入を決めた本がある。
GRデジタルワークショップという2006年に発行された古い本。
ぼくが愛用してるGRD3の初代にあたるモデルのカメラを、田中長徳氏というプロのカメラマンが使って魅力を伝えると言った内容の本。
正直に言うと、ぼくはこの田中長徳氏を知らない。カメラで写真を撮ることは好きだけど、プロのカメラマンのあの作品がどうこうとか、カメラの設定はみたいな話はさっぱりだ。
所詮、自分はプロではないので、目の前の景色を感じたままに切り取れればいいかなと思ってるぐらいなので、小難しい知識は不要。設定はカメラ任せでOK。
とはいえ、プロのカメラマンがぼくと同じカメラ(厳密に言うともっと古いカメラだけど)を使って撮る写真はどんな画になるんだろうという興味はある。
最近は少しGRD3との付き合い方に迷う部分もあったので、他人の作品を見ることで自分の写欲を刺激できたらいいかなと思って本書を買ってみた。
Contents
GRD3とはこう付き合っていく

結論から言うと、設定はカメラ任せで難しいことは考えないようにしようという結論に至った。
GRD3とはまだ1年程度の付き合いだし、撮影の設定なんか考えるよりもまずは思いのままにシャッターを切りまくることの方が重要だと思う。
RAW現像はやめた

GRD3を手にするまでは、RAW現像への憧れがあった。
そもそも、写真って楽しそうだなと思い始めたきっかけが、ガジェットブロガーで有名なトバログに掲載されている写真の美しさに魅了されたところからだ。
トバログの記事を読み漁っていると、「RAW」という単語をちらほら見かけるようになり、単純なぼくは「そうか、RAWで撮ればこんな写真が撮れるようになるんだ!」と思うようになる。
そこから予算を考えて、あれこれ作例を見漁ってようやく手に入れたカメラが中古のGRD3だった。
カメラを手にしたての頃は、夢中になってシャッターを切り、何枚も撮りためた写真をLightroomでRAW現像していたんだけど、何かちがう。
たしかに、RAWで撮った写真とJPEG撮って出しでは、RAWの方が雰囲気ある写真のようにも見える。
でも、もしかしたらそう思い込んでるだけで、ホントは大差ないのかもしれない。いや、正直に言うと素人目にはちがいがわからない。
ぶっちゃけ、RAW現像はめんどくさい。何枚も撮ったスナップ写真をわざわざRAW現像してレタッチしてなんてやってられるほど暇ではない。
特に旅行など、たくさん写真を撮る場面が多いときなんかは、撮ってるときは楽しくて何枚も撮るんだけど、家に帰ってきてから現像するまでに重い腰を上げるのが大変。
趣味の世界なんだから、少しでもめんどくさいと思う部分なら自分から排除していくのも有りだと思う。
GRD3なら、JPEGデータでカメラが吐き出す画を信頼しても良いだろう。むしろ変にレタッチして作り物の写真になるぐらいなら、リアルを写し出してる方がずっと良い。
だからRAW現像はやめた。
手ブレは気にしない

GRD3には、いわゆる手ブレ補正機能がない。
夜景なんかは三脚がないとまともに撮影することはほぼ不可能だし、子どもや動物など動きが早くて大きい被写体を撮影することをGRD3は不得意としている。
我が家には2人の子どもと7匹の猫、それから1匹の犬がいて、何気ない瞬間を記録しておきたい思い、これまでに何度かGRD3で撮影を試みたが、結果的にほとんどの写真がブレブレで狙ったような写真が撮れたことはない。
とはいえ、「ブレるのは生きてる証拠」と割り切って考え、GRD3で撮影するすべての写真はスナップ写真として考えれば手ブレも味になるのではないかと思えてくる。
誰に迷惑をかけるわけでもないし、作品として世の中に出すものでもない。
自分が良いと思えばそれでいいのが趣味としてのアートの世界なんだと思う。
撮れない写真は撮らない

GRD3は単焦点レンズの固定式で、いわゆる「コンデジ」と呼ばれる類のカメラ。
当然、撮れる写真の選択肢は限られてくる。
夜景や星景は苦手だし、ズームができない分、野鳥などの撮影にも向かない。
でも、単焦点レンズならではのキレイなテーブルフォトや、GRD3の武器でもある強力なマクロで植物を撮るのはすごい得意なカメラ。
基本的にぼくは夜に出歩くことがほとんどないので、夜景が撮れないことに特に不満はない。
ズームができないことには多少不便を感じることもあるけど、まあできないことはできないんだと割り切ることも必要だと思う。というより、それぐらいの気持ちでいなければGRD3のようなカメラとは付き合っていけない。
むしろ、GRD3が最も力を発揮できる領域で撮れる写真を磨いていきたいと思うぐらい。
“撮れない写真は撮らなくていい”と思えるぐらい、いい意味での諦めを覚えたのもGRD3を使うようになってからだ。
まとめ

本書には写真撮影のテクニック的なことは特に書かれてなくて、あくまでも著者の主観によるGRDとの付き合い方だったり、ちょっとしたウンチク的なことが語られている内容なので、テクニック的な部分を求めてる人には向いていない。
ぼくのようなカメラ素人が、コンデジとはどのように付き合っていけばいいかという方向性を考えるのにはすごく役立つ本だと思う。
本書の中にある作品はフランスの街並みを撮影したスナップ写真なので、正直、参考になるとは言い難い。
海外の空気感や街並みは、素人が切り撮るだけでも画になるからだ。
それでも、日本には日本の良さがあり、田舎暮らしをしているぼくにしか撮れない写真はあると思う。
これが自分らしい写真だと思えるスタイルを追求しつつ、スナップ写真を楽しみたい。
▼リンクはGRシリーズの最新作(2022年4月現在)